「遺影写真は亡くなってから遺族が用意するもの」——そんなイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。しかし近年、終活への関心が高まるなかで、生前に自分で遺影写真を撮影しておく方が増えています。
かつては「生きているうちに遺影を準備するのは縁起が悪い」と考えられていましたが、今では「家族に負担をかけたくない」「自分らしい写真を残したい」という前向きな理由から、写真館やフォトスタジオで遺影撮影を行う方が珍しくありません。むしろ、元気なうちに納得のいく一枚を残しておくことは、ご自身にとっても、残されるご家族にとっても大きな安心につながります。
この記事では、遺影撮影を生前に行うメリットから、写真館の選び方、服装やメイクのポイント、費用相場、撮影当日の流れまで詳しく解説します。後悔しない遺影写真を残すために、ぜひ参考にしてください。
遺影写真とは?葬儀における役割を知る

遺影写真とは、葬儀の際に祭壇に飾られる故人の写真のことです。参列者が故人を偲ぶための大切な存在であり、葬儀が終わった後も自宅の仏壇や居間に飾られ、長く家族のそばに残り続けます。
遺影写真は単なる「写真」ではありません。ご遺族や親族、友人・知人が故人の生前の姿を思い出すための重要な役割を担っています。葬儀に参列した方々は遺影を見ながら、故人との思い出を振り返り、最後のお別れをします。その後も、遺影を目にするたびに故人のことを思い出すきっかけとなるのです。
また、遺影写真は子どもや孫、さらにその先の世代にも受け継がれていきます。直接会ったことのない子孫にとっても、「こんなご先祖様がいたのだ」と知るための貴重な資料となります。だからこそ、遺影写真はご自身の人柄やイメージが伝わる、納得のいく一枚を選びたいものです。
葬儀で使用される遺影写真のサイズは、祭壇用の四つ切りサイズ(約254mm×305mm)と、焼香台などに置かれるL判サイズ(約89mm×127mm)の2種類が一般的です。近年はデジタルフレームを使用して複数の写真をスライドショーで表示するケースも増えており、データで遺影写真を準備しておくことの重要性が高まっています。
遺影撮影を生前に行う5つのメリット

生前に遺影写真を撮影しておくことには、さまざまなメリットがあります。ここでは特に重要な5つのポイントをご紹介します。
自分が納得できる写真を残せる
生前に遺影撮影を行う最大のメリットは、自分自身で納得できる写真を選べることです。亡くなった後に遺族が写真を選ぶ場合、必ずしも本人が気に入っていた写真が選ばれるとは限りません。表情がいまひとつだったり、服装が普段のイメージと違っていたりすることもあるでしょう。
生前に自分で撮影・選定しておけば、「この写真なら満足」と思える一枚を遺影にできます。服装やヘアスタイル、メイク、表情まで自分の意思で決められるため、後悔のない写真を残せます。
遺族の負担を軽減できる
大切な家族を亡くした直後、遺族は深い悲しみのなかで葬儀の準備を進めなければなりません。葬儀会社との打ち合わせ、参列者への連絡、各種手続きなど、やるべきことは山積みです。そのような状況で、大量の写真のなかから遺影にふさわしい一枚を選ぶ作業は、精神的にも時間的にも大きな負担となります。
遺影写真があらかじめ準備されていれば、遺族はその写真を葬儀会社に渡すだけで済みます。「どの写真にすればよいか」と悩む必要がなくなり、故人を偲ぶ時間に集中できるようになります。
元気で若々しい姿を残せる
遺影撮影を先延ばしにしていると、思わぬ病気や体調不良で撮影の機会を逃してしまうことがあります。闘病中や介護施設に入所してからでは、元気だった頃のような写真を撮ることは難しくなります。
元気なうちに撮影しておけば、はつらつとした表情や若々しい姿を遺影に残せます。葬儀に参列した方々にも、生前の元気な姿を思い出してもらえるでしょう。60代、70代のうちに撮影しておくことで、ご自身が最も輝いている姿を写真に収められます。
記念撮影として楽しめる
遺影撮影というと重い気持ちになる方もいらっしゃるかもしれませんが、最近は「記念撮影」として前向きに楽しむ方が増えています。プロのヘアメイクで普段とは違う自分に変身したり、お気に入りの服装で撮影したりすることで、特別な体験として楽しめます。
撮影をきっかけに美容院に行ったり、新しい服を購入したりと、自分磨きのモチベーションにもなります。「遺影のため」ではなく「今の自分を美しく残すため」と考えれば、撮影がより楽しいイベントになるはずです。
家族との思い出づくりになる
遺影撮影を家族と一緒に行えば、かけがえのない思い出づくりにもなります。お孫さんの七五三やご夫婦の結婚記念日など、家族のイベントに合わせて撮影すれば、世代を超えた記念写真を残せます。
撮影当日は家族で写真館に出かけ、一緒に写真を選び、その後に食事を楽しむ——そんな一日を過ごすことで、家族の絆もより深まるでしょう。遺影写真は「終わり」のためではなく、「今」を大切にするきっかけにもなるのです。
生前の遺影撮影はどこでできる?選択肢を比較

生前に遺影写真を撮影する方法はいくつかあります。それぞれの特徴を理解し、ご自身に合った方法を選びましょう。
写真館・フォトスタジオは、遺影撮影の最も一般的な選択肢です。プロのカメラマンが撮影を担当し、照明や背景も整った環境で撮影できるため、クオリティの高い写真が期待できます。多くのスタジオでは美肌加工や修正にも対応しており、しわやしみを目立たなくした仕上がりも可能です。
葬儀会社の撮影サービスを利用する方法もあります。終活相談の一環として遺影撮影を提供している葬儀会社も増えており、葬儀の事前相談と合わせて撮影できる点がメリットです。ただし、写真のクオリティや撮影環境はスタジオほど充実していない場合もあります。
出張撮影サービスは、カメラマンが自宅や希望の場所に来てくれるサービスです。体調面で外出が難しい方や、思い出の場所で撮影したい方に適しています。自然光を活かした柔らかい雰囲気の写真が撮れることも魅力です。
セルフ撮影という選択肢もあります。スマートフォンやデジタルカメラで自分で撮影する方法で、費用を抑えられる点がメリットです。ただし、遺影にふさわしい構図や表情で撮るには技術が必要で、照明や背景の調整も難しいため、仕上がりに満足できないケースも少なくありません。
また、60代・70代・80代のシニア世代に特化した撮影サービスも登場しています。たとえば、シニア撮影専門サービス「ロクナナハチ(678)」では、プロのヘアメイクと撮影技術により、年齢を重ねた方ならではの魅力を引き出す撮影を行っています。「遺影を撮る」というよりも「記念日の変身体験」として楽しめる点が特徴で、全国の提携写真館で利用できます。シニア世代の撮影に慣れたスタッフが対応するため、緊張せずリラックスして撮影に臨めると好評です。
写真館選びで後悔しないためのポイント

遺影撮影を写真館に依頼する場合、どのようなスタジオを選べばよいのでしょうか。後悔しないための4つのポイントをご紹介します。
シニア撮影の実績があるか
写真館にはそれぞれ得意分野があります。子どもの記念写真が専門のスタジオと、シニア世代の撮影経験が豊富なスタジオでは、ノウハウが大きく異なります。
シニア撮影の実績があるスタジオは、年齢を重ねた方の魅力を引き出す撮影技術を持っています。表情の引き出し方、しわが目立ちにくい照明の当て方、落ち着いた雰囲気づくりなど、シニア世代に配慮したサービスが期待できます。事前にホームページで撮影事例を確認したり、電話で相談したりして、シニア撮影に対応しているか確認しましょう。
ヘアメイクや衣装のサポートがあるか
遺影写真をより美しく仕上げるためには、ヘアメイクが重要です。プロのヘアメイクが含まれているプランであれば、撮影に最適なメイクやヘアスタイルに整えてもらえます。普段あまりメイクをしない方でも、プロの手にかかれば自然で華やかな印象に仕上がります。
また、衣装のレンタルや着付けサービスがあるスタジオなら、手持ちの服がなくても安心です。和装で撮影したい場合など、衣装の準備が難しいケースでも対応してもらえます。
加工・修正に対応しているか
年齢を重ねると、しわやしみ、肌のくすみなどが気になるものです。美肌加工や修正に対応しているスタジオであれば、気になる部分を自然に補正した写真に仕上げてもらえます。
ただし、加工しすぎると本人と分からなくなってしまう恐れもあります。「自然な範囲で」「このしみだけ消してほしい」など、具体的な希望を伝えられるスタジオを選ぶと安心です。撮影後にその場で仕上がりを確認でき、修正の相談ができるスタジオがおすすめです。
データで受け取れるか
遺影写真はプリントだけでなく、データでも受け取れるかどうかを確認しましょう。データがあれば、葬儀の際に万が一プリント写真が見つからなくても対応できます。また、最近増えているデジタルフレームでの表示にも対応でき、年賀状や家族へのプレゼントなど、遺影以外の用途にも活用できます。
データの形式や解像度、保存期間なども事前に確認しておくと安心です。長期間データを保管してくれるサービスがあれば、万が一の際にも再プリントが可能です。
遺影撮影の服装・メイクの基本

遺影写真の服装やメイクに厳格なルールはありませんが、いくつかのポイントを押さえておくと、より良い仕上がりになります。
服装の定番は喪服です。葬儀の場にふさわしく、参列者の服装とも調和するため、迷ったときは喪服を選べば間違いありません。ただし、最近は私服で撮影する方も増えています。普段から着慣れている服装のほうが自分らしさが出て、自然な表情になりやすいという考え方もあります。
男性の場合はスーツが一般的です。ネクタイの色は派手すぎないものを選び、清潔感のある装いを心がけましょう。女性の場合は、訪問着などの和装も人気があります。華やかさがありながらも上品な印象に仕上がり、特別な一枚を残せます。
私服で撮影する場合は、無地か控えめな柄の服を選ぶとよいでしょう。背景と同化しにくい色を選び、顔周りが明るく見える色味がおすすめです。白やパステルカラーなどの明るい色は、顔色を良く見せる効果があります。
メイクは派手すぎず、地味すぎない自然な仕上がりを目指しましょう。ポイントは「明るい印象」と「自分らしさ」です。リップやチークで血色感を出し、健康的で若々しい印象に仕上げます。普段メイクをしない男性も、ファンデーションで肌を整えるだけで写真写りが格段に良くなります。
避けたほうがよいのは、顔を隠してしまうアイテムです。帽子は顔に影ができやすく、サングラスや色付きメガネは目元が見えなくなります。マスクも同様に顔の大部分を隠してしまうため、遺影撮影には適しません。普段メガネをかけている方は、反射しにくいレンズを選ぶか、撮影時だけ外すことを検討しましょう。
遺影撮影の費用相場と内訳

遺影撮影の費用は、撮影場所やプラン内容によって大きく異なります。一般的な相場を把握しておくと、予算を立てやすくなります。
写真館やフォトスタジオでの撮影は、1万円から3万円程度が相場です。この価格帯には、撮影料、基本的な写真プリント、データが含まれていることが多いです。ヘアメイクや衣装レンタルが含まれるプランは、2万円から5万円程度になることもあります。
費用の内訳としては、撮影料(基本料金)、ヘアメイク料、衣装レンタル料、写真プリント代、データ料、美肌加工・修正料などがあります。スタジオによってはすべてがセットになったプランもあれば、オプションとして追加するシステムもあります。事前に見積もりを取り、何が含まれているかを確認しておきましょう。
追加オプションとしては、撮影カット数の追加、アルバムや台紙の購入、額装、複数サイズのプリントなどがあります。必要なものだけを選べば費用を抑えられますが、せっかくの機会なので記念としてアルバムを作成する方も少なくありません。
撮影費用を抑えたい場合は、平日割引やシニア割引を実施しているスタジオを探すのも一つの方法です。また、お誕生日や敬老の日などのキャンペーン時期を狙うと、お得に撮影できることもあります。
撮影当日の流れと準備すること

遺影撮影をスムーズに進めるために、当日の流れと事前準備を確認しておきましょう。
撮影前の準備として、まず服装を決めておきます。当日持参する場合は、しわにならないよう注意して運びましょう。着付けが必要な和装の場合は、事前にスタジオに相談しておきます。また、どのような雰囲気の写真にしたいか、イメージを固めておくことも大切です。参考になる写真があれば、スタジオに見せると希望が伝わりやすくなります。
当日の流れは、一般的に次のように進みます。まずスタジオに到着したら、スタッフとカウンセリングを行います。希望する仕上がりのイメージや、気になる点などを伝えましょう。次にヘアメイク(プランに含まれている場合)を行い、撮影に適した状態に整えます。準備が整ったら撮影開始です。カメラマンの指示に従いながら、リラックスして撮影に臨みます。複数のポーズや表情で撮影し、その中からお気に入りの一枚を選びます。
撮影後は、撮影した写真の中から遺影に使用するカットを選びます。スタジオによってはその場で選定し、修正の希望も伝えられます。写真のセレクトが終わったら、受け取り方法や納期を確認して終了です。
所要時間は、撮影のみであれば1時間程度、ヘアメイクを含むプランであれば2時間程度が目安です。余裕を持ったスケジュールで予約しておくと、焦らずゆったりと撮影を楽しめます。
撮影後にやっておくべきこと

遺影写真を撮影したら、それで終わりではありません。いざというときにスムーズに使えるよう、いくつかの準備をしておきましょう。
最も重要なのは、写真やデータの保管場所を家族に伝えておくことです。せっかく準備した遺影写真も、家族がその存在や保管場所を知らなければ使ってもらえません。「この写真を遺影に使ってほしい」という意思とともに、プリント写真やデータの保管場所を明確に伝えておきましょう。
エンディングノートを作成している方は、遺影写真についても記載しておくことをおすすめします。写真の保管場所、データの保存先、撮影したスタジオの連絡先などを記録しておけば、万が一の際に遺族が困ることはありません。
また、遺影写真は一度撮影したら終わりではなく、定期的に更新することも検討しましょう。5年、10年と時間が経てば、見た目も変わってきます。大きな節目(還暦、古希、喜寿など)に合わせて撮り直せば、常に「今の自分」に近い写真を遺影として準備しておけます。撮影を定期的なイベントとして楽しむことで、年齢を重ねることへの前向きな気持ちも生まれるでしょう。
まとめ
遺影撮影を生前に行うことは、自分自身が納得できる写真を残せるだけでなく、遺族の負担を軽減し、元気な姿を後世に伝えられるという大きなメリットがあります。「縁起が悪い」という考えは過去のものとなり、今では終活の一環として前向きに取り組む方が増えています。
写真館を選ぶ際は、シニア撮影の実績やヘアメイクのサポート、加工対応、データ提供の有無などを確認し、自分に合ったスタジオを見つけることが大切です。服装やメイクは自分らしさを大切にしながら、明るく自然な印象を心がけましょう。
遺影撮影は「終わり」のための準備ではなく、「今の自分」を美しく残す記念撮影でもあります。ぜひ前向きな気持ちで撮影に臨み、ご自身もご家族も満足できる一枚を残してください。生前に記念撮影を検討される方は、ロクナナハチ公式サイトでお近くの対応スタジオを探すことができます。