目次

678編集部

この記事を書いている人

ロクナナハチ(678)編集部

シニア世代の方々の撮影を行っているフォトスタジオ業界の最新情報や撮影テクニック、スタジオ選びのコツなど、皆様に役立つ情報をお届けしています。

「遺影を自宅に飾るのはよくないのでは?」と不安に感じている方は少なくありません。風水的に縁起が悪いのではないか、宗教的にタブーがあるのではないかと心配になるのも無理はないでしょう。特に、親族から「飾らない方がいい」と言われたり、インターネットで様々な情報を目にしたりすると、迷ってしまうものです。

結論から申し上げると、遺影を飾ることは「よくない」わけではありません。むしろ故人を偲び、日常の中で故人を身近に感じるための大切な方法の一つです。ただし、飾る場所には注意すべきポイントがいくつか存在します。

この記事では、遺影を飾ることに関する迷信の真相を解説し、避けるべき場所と適切な飾り方について詳しくご紹介します。遺影の扱いに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

遺影を飾ることは「よくない」わけではない

遺影を飾ることは「よくない」わけではない

まず理解しておきたいのは、遺影を飾ること自体に問題はないということです。「よくない」という考えが生まれた背景には、いくつかの誤解や混同があります。

遺影に宗教的な意味はない

遺影は明治時代以降に広まった比較的新しい風習です。仏教の歴史が2,500年、日本で仏壇ができてから約1,300年であるのに対し、遺影の歴史は150年程度にすぎません。位牌は故人の魂が宿るとされる宗教的な意味を持ちますが、遺影はあくまで故人の生前の姿を写した写真であり、宗教的な役割は持っていません。

そのため、遺影を飾るかどうかは各家庭の自由です。必ず飾らなければならないという決まりもなければ、飾ってはいけないという禁止事項もありません。故人を偲ぶ手段として、家族が必要だと感じれば飾り、不要だと思えば飾らなくても何ら問題ないのです。

「よくない」という迷信が生まれた背景

では、なぜ「遺影を飾るのはよくない」という考えが一部で広まったのでしょうか。主な理由として、仏壇との位置関係に関する誤解が挙げられます。仏壇の中や上に遺影を置くことは、仏様やご先祖様に対して失礼にあたるため避けるべきとされています。この「特定の場所に置くべきではない」という部分だけが独り歩きし、「遺影を飾ること自体がよくない」という誤った解釈につながったと考えられます。

また、風水の観点から写真の飾り方に良し悪しがあるという情報が、遺影全般に対する不安を増幅させたケースもあります。さらに、故人の顔写真を日常的に目にすることへの心理的な抵抗感が、「飾らない方がいい」という考えを後押ししている面もあるでしょう。

しかし、これらはいずれも部分的な情報や個人的な感覚に基づくものです。遺影は決して不吉なものではなく、故人と家族をつなぐ大切な存在として、多くの家庭で自然に飾られています。

遺影を飾る際に避けるべき場所

遺影を飾ること自体に問題はありませんが、飾る場所には注意が必要です。避けるべき場所を理由別に整理してご紹介します。

宗教的に避けるべき場所

仏教では、仏壇の扱いに関していくつかの作法があります。遺影を飾る際も、これらを踏まえることが大切です。

仏壇の中は浄土の世界を表す神聖な場所とされており、基本的には仏像や位牌など決められたもの以外は納めるべきではありません。遺影は生前の姿を写したものであるため、浄土を表す仏壇の中に置くことは不適切と考えられています。

また、仏壇の上に遺影を置くことも避けるべきです。これは、仏壇の中にいらっしゃるご本尊様の頭上に物を置くことになり、仏様に対して失礼にあたるためです。同様に、仏壇の真正面に遺影を置くと、仏壇に手を合わせる際に故人の写真にお尻を向ける形になってしまい、これもまた失礼とされています。

遺影を飾る場合は、仏壇の脇や隣に台を設けるなど、ご本尊と重ならず、かつ失礼にならない位置を選ぶことが重要です。

物理的に避けるべき場所

遺影は写真ですから、保存状態を保つために物理的な環境にも配慮が必要です。

湿気の多い場所は、遺影にカビが生える原因となります。一度カビが発生すると除去が難しく、写真が台無しになってしまう可能性があります。キッチンやバスルームなどの水回りの近く、結露しやすい窓際、北側の日当たりの悪い部屋などは避けた方が無難です。

直射日光が当たる場所も推奨できません。紫外線によって写真が日焼けし、色あせや劣化が進んでしまいます。西日が強く当たる場所や、一日中日光が差し込む窓際などは避け、どうしてもその場所に飾りたい場合は、日よけの布やカーテンで遮光する工夫をしましょう。

高温になりやすい場所も写真の劣化を早めます。暖房器具の近くや、熱がこもりやすい場所は避けることをおすすめします。風通しが良く、温度変化の少ない場所を選ぶことで、遺影を長く良い状態で保つことができます。

安全面で避けるべき場所

遺影を飾る際は、安全性への配慮も欠かせません。

固定できない不安定な場所に遺影を置くと、地震などの際に落下して破損する恐れがあります。特に、日本は地震が多い国ですから、しっかりと固定できる場所を選ぶか、落下防止の対策を施すことが大切です。壁に掛ける場合は、フックをしっかりと取り付け、定期的に緩みがないか確認しましょう。

通路や頭上に遺影を飾ることも避けるべきです。万が一落下した場合、下を通る人に怪我をさせてしまう危険性があります。また、人がよく通る場所では、ぶつかって遺影を落としてしまうリスクも高まります。

遺影は故人の象徴でもあるため、丁寧な扱いが求められます。安全に配慮した場所選びは、遺影を守るだけでなく、家族の安全を守ることにもつながります。

風水的に避けるべき場所(参考情報として)

風水を気にされる方のために、風水の観点から避けるべきとされる場所もご紹介します。ただし、風水はあくまで一つの考え方であり、信じるかどうかは個人の自由です。

風水では、玄関は運気の出入り口とされており、そこに人物写真を飾ると悪い気が写真の人物に当たってしまうため、縁起がよくないと考えられています。特に、玄関の扉を開けた際に遺影と対面する配置は、「家族を追い出す」という意味合いがあるとされ、避けた方が良いとされています。

トイレなどの水回りも、風水上は悪い気がたまりやすい場所といわれており、人物写真を飾るのは避けるべきとされています。ただし、これらはあくまで風水の解釈であり、物理的な問題(湿気による劣化)の方がより実質的な理由といえるでしょう。

風水を参考にする場合も、家族の意見や住宅事情を優先し、無理のない範囲で取り入れることをおすすめします。

遺影を飾るのに適した場所

避けるべき場所を理解したところで、次は遺影を飾るのに適した場所についてご紹介します。

一般的な飾り場所

最も一般的な飾り場所は、仏壇の近くです。仏壇と同じ部屋に遺影があれば、仏壇に手を合わせる際に遺影にも自然と目が行き届き、故人を偲びやすくなります。ただし先述の通り、仏壇の中や上は避け、脇や隣に台を設けて飾るようにしましょう。仏壇の向きに合わせて、南向きか東向きに飾られることが多いようです。

床の間も格式高い場所として、遺影を飾るのにふさわしいとされています。昔から身分の高い者が腰かける場所とされてきた床の間は、現代においても家の中で最も格式が高い位置と考えられています。和室がある家庭では、床の間に遺影を飾ることで、故人を敬う気持ちを表現できます。

リビングやダイニングといった家族が集まる場所に飾るのも良い選択です。日常的に故人の顔を見ることができ、家族の会話の中で故人の思い出を語り合うきっかけにもなります。故人が生前、家族団らんを大切にしていた場合は、リビングに飾ることで一緒に過ごしているような感覚を持てるでしょう。

寝室に飾る方もいます。プライベートな空間で静かに故人を偲びたいという場合に適しています。風水的にも、寝室は悪いエネルギーをリセットし運気を高める場所とされており、家族写真を飾るのに適しているとされています。

現代住宅での工夫

現代_遺影

現代の住宅事情では、昔ながらの大きな遺影を飾るスペースがないという家庭も少なくありません。そのような場合は、工夫次第で無理なく遺影を飾ることができます。

小さな写真立てに入れて飾る方法は、最も手軽で現実的です。通常の写真と同じサイズ(2L判など)にすれば、リビングの棚や寝室のサイドテーブルなど、どこにでも飾ることができます。インテリアにも馴染みやすく、圧迫感もありません。

デジタルフォトフレームを活用する方法もあります。遺影だけでなく、故人の生前の様々な写真をスライドショー形式で楽しむことができ、より多彩な思い出を振り返ることができます。日焼けやカビの心配もなく、場所も取らないため、現代的な選択肢として人気が高まっています。

壁掛けで飾る場合は、鴨居や長押に金具を取り付けて吊るす方法があります。和室がない洋間でも、壁にフックをしっかりと固定すれば壁掛けが可能です。ただし、落下防止のため定期的に固定状況を確認しましょう。

額縁の選び方も重要です。かつては黒の額縁が一般的でしたが、最近は明るい色や木目調など、部屋の雰囲気に合わせた様々なデザインが選ばれています。故人の人柄や部屋のインテリアに合った額縁を選ぶことで、より自然に遺影を飾ることができます。

飾る期間について

遺影を飾る期間に明確な決まりはありません。一般的には、葬儀後から四十九日までは後飾り祭壇に遺影を飾ります。後飾り祭壇とは、故人が仏様のもとに旅立つまでの間、遺骨や位牌とともに遺影を安置する仮の祭壇です。

四十九日の法要が終わった後は、そのまま飾り続けても、処分しても、どちらでも問題ありません。ずっと飾っておきたいという方もいれば、気持ちの整理をつけるために一定期間を過ぎたら片付けるという方もいます。どちらが正しいということはなく、家族の気持ちや住宅事情に応じて自由に決めて構いません。

飾り続ける場合も、年月が経つにつれて先祖代々の遺影が増えていくことがあります。その場合は、小さなサイズにリサイズしてアルバムに保管する、デジタル化して保存するなどの方法も検討してみましょう。大切なのは、故人を偲ぶ気持ちを形にすることであり、飾り方や期間に正解はありません。家族で話し合い、それぞれの家庭に合った方法を選ぶことが何よりも大切です。

遺影写真を事前に準備するという選択肢

遺影写真を事前に準備するという選択肢

ここまで、遺影の飾り方について解説してきましたが、最後に遺影写真そのものを生前に準備するという選択肢についてもご紹介します。

生前に遺影用の写真を撮るメリット

従来は、家族が亡くなった後に慌てて適切な写真を探すというケースが一般的でした。しかし、最近では生前に本人が遺影用の写真を撮影しておくという考え方が広まっています。

生前撮影の最大のメリットは、本人が納得できる写真を残せることです。表情、服装、背景など、自分の希望を反映した写真を準備できるため、「もっと良い写真があったのではないか」という後悔を避けることができます。

また、家族にとっても大きなメリットがあります。大切な人を亡くした悲しみの中で、限られた時間内に適切な写真を探すのは精神的にも負担の大きい作業です。事前に準備があれば、その負担を軽減でき、落ち着いて葬儀の準備を進めることができます。

さらに、近年では遺影を「最期の写真」としてではなく、「記念撮影」として前向きに捉える考え方も増えています。人生の節目に撮る記念写真の一つとして、明るい気持ちで撮影に臨む方も少なくありません。

シニア世代向けの撮影サービス

ロクナナハチ

生前に遺影用の写真を撮影する際、プロのカメラマンに依頼する方法があります。特に60代・70代・80代の方向けに特化した撮影サービスも登場しており、シニア世代が美しく写るための工夫が凝らされています。

例えば、ロクナナハチ(678)のように60代・70代・80代のための撮影サービスでは、プロのヘアメイクと撮影技術によって、「変身体験」として楽しみながら記念写真を残すことができます。

このようなサービスでは、照明や角度にこだわり、シニア世代が自然に美しく写るよう撮影されます。また、ヘアメイクの専門家がトータルでコーディネートしてくれるため、普段とは違う特別な自分の姿を写真に残すことができます。遺影としてだけでなく、誕生日や敬老の日、金婚式などの記念日の写真としても活用でき、家族へのプレゼントとしても喜ばれています。

遺影という言葉にネガティブなイメージを持つ方もいるかもしれませんが、「記念撮影」「変身体験」として前向きに捉えることで、人生の大切な一枚を残すという意義のある行動になります。興味のある方は、こうした専門サービスの利用も検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

遺影を飾ることは「よくない」という考えは迷信であり、実際には故人を偲び、身近に感じるための大切な方法の一つです。遺影に宗教的な意味はなく、飾るかどうかは各家庭の自由に委ねられています。

ただし、飾る場所には注意が必要です。仏壇の中や上、真正面といった宗教的に避けるべき場所、湿気や直射日光が当たる物理的に不適切な場所、落下の危険がある安全面で問題のある場所は避けましょう。一方で、仏壇の近く、床の間、リビング、寝室など、故人を偲べる場所であればどこに飾っても構いません。

現代の住宅事情に合わせて、小さな写真立てやデジタルフォトフレームを活用するなど、工夫次第で無理なく遺影を飾ることができます。飾る期間も自由ですので、家族で話し合って決めることが大切です。

また、生前に遺影用の写真を準備しておくという選択肢もあります。記念撮影として前向きに捉え、本人が納得できる一枚を残しておくことで、家族の負担を軽減し、より良い形で故人を偲ぶことができます。60代・70代・80代の方向けの撮影サービスも充実していますので、興味のある方はロクナナハチ公式サイトで詳細をご確認ください。

最も大切なのは、遺影の有無や飾り方ではなく、故人への思いを形にすることです。家族それぞれの気持ちを大切にしながら、最適な方法を選んでいただければと思います。